ジャスパー・ジョーンズ
~戦後アメリカ美術を最も体現した作家

ジャスパー・ジョーンズ《フラッグ(旗)》


1930年生まれのジャスパー・ジョーンズは、抽象表現主義、ネオ・ダダ、ポップ・アートなど、さまざまな運動に貢献したことで知られています。


1954年、朝鮮戦争の兵役で赴任していた日本から帰国したジャスパー・ジョーンズは、当時流行していた抽象表現主義に背を向けて、旗、地図、標的、文字、数字などの身近なシンボルを取り入れた作品群を作りはじめました。後にネオ・ダダと名付けられたこれらの表現は、個人的な内面の表出である抽象表現主義からの脱却を志向し、身近なものの表象の本質に疑問を投げかけたものだと理解されています。


当時、ジャスパー・ジョーンズの公私にわたるパートナーとしてネオ・ダダを牽引したのが、ロバート・ラウシェンバーグです。ラウシェンバーグとの緊密な共同作業は、ジョーンズに大きな影響を与えました。2人は恋愛関係にあっただけでなく、芸術的なアイデアをも共有し、アメリカの美術史における境界を押し広げ、慣習に挑戦しました。


ジャスパー・ジョーンズは、1988年ベネチア・ビエンナーレ金獅子賞、1990年ナショナル・メダル・オブ・アーツ、2011年大統領自由勲章など、数多くの栄誉に輝いています。美術界において、ジャスパー・ジョーンズは伝統と革新、象徴主義と抽象主義の架け橋となり、何世代ものアーティストや美術愛好家にインスピレーションを与え続けています。

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