映画レビュー「ありきたりな言葉じゃなくて」
~等身大の若者のリアルを伝えてくれる作品
2024年12月20日から全国劇場公開が始まった映画「ありきたりな言葉じゃなくて」。この映画の撮影に翠波画廊が撮影協力をしました。
映画の主人公は32歳の藤田拓也。夢がかなってテレビドラマの脚本家デビューをはたした拓也は、飲み会の帰り道、うれしさのあまり客引きに引かれるままにキャバクラへ。そこで出会ったのが「りえ」です。という感じで始まる本作。この後はどのような展開になると思いますか?
ちなみに翠波画廊は東京店を撮影にお貸ししました。拓也が脚本を書いたテレビドラマ「風待ちの恋人たちへ」の主人公の男性が画家で、自分の描いた絵が銀座の画廊に飾られているのをヒロインの女性に見せている場面です。ドラマ内ドラマの撮影シーンとして使われています。
銀座の画廊に絵を飾るという夢を掴んだ画家は、ドラマの脚本家デビューという夢を掴んだ拓也のアナロジーです。
しかし、ドラマの中の画廊のキラキラ感に比べて、現実の拓也は街中華の実家暮らしで恋人もいず、ちょっと泥臭い。そこがリアルでいい。
冒頭から拓也はまったくイケメンには描かれていません。出てくる人物は全員ちょっとクセがあって、良くも悪くも等身大の人間です。マンガのようなスーパーヒーローは出てきません。
私たちは頭の中の理想ではヒーローやヒロインですが、実際はそうではありません。余裕があれば人助けもするけど、追い込まれれば感情的になって利己的にもなる普通の人間です。でも理想的な人間になりたいと夢はもっている。それがこの作品の描くリアルです。
見終わったら、ほろ苦いビールが飲みたくなる良い映画でした。みなさんとても美味しそうにビールを飲んでいるんですよね。