藤田嗣治の初期作品が初公開!
パリ留学前の希少な作品から「乳白色のカンヴァス」まで見られる展覧会とは?
日本人画家としてパリで活躍し、エコール・ド・パリを代表する画家の一人となった藤田嗣治。彼は1913年にパリに渡り、パリで暮らしながら独自の画風を確立していきました。
特に、白い下地に細い線描で描いた裸婦像や自画像は、「乳白色のカンヴァス」と呼ばれ、パリ画壇で高い評価を得ました。
しかし、彼がパリ渡航前に描いた作品は、第二次世界大戦中に失われてしまったため、ほとんど知られていませんでした。
大阪市の山王美術館は、2023年3月2日(木)から 7月31日(月)まで、「渡仏から110年 藤田嗣治展」を開催し、所蔵する藤田嗣治コレクション54点をすべて公開しています。
本展では、パリ留学前の希少な作品から、藤田の代名詞ともいえる「乳白色のカンヴァス」にいたる初期の作品に焦点をあて、藤田の画風確立の変遷をたどります。
特に、1913年の渡仏直前に描かれた≪花≫は、本展が初公開となります。26歳の藤田が、渡航の費用を得るために描いた作品だそうです。
大阪が遠い方には、2023年3月3日(金)から9月12日(火)まで、長野県の軽井沢安東美術館で開催している企画展「藤田嗣治 猫と少女の部屋」もおすすめです。
軽井沢安東美術館は、日本で初めての藤田嗣治専門美術館として、2022年10月にオープンしたばかりの新しいスペースです。
軽井沢安東美術館の藤田嗣治コレクションは約200点にのぼります。今回はその中から、猫と少女の作品にフォーカスしました。1949年のニューヨーク滞在中に描かれたレア作品《猫の教室》も初公開しています。ぜひご覧ください。
また、夏の特集展示「戦争の時代の藤田嗣治 1937-1945年」2023年8月3日(木)~2023年9月12日(火)は、あまり陽のあたることのない藤田嗣治の戦争画にも目を配ったもので、同館が所蔵する100号のポスター原画《勇敢なる神風特攻隊》(1944年頃)を初公開しています。こちらも必見です。
そのほか、軽井沢安東美術館では、藤田嗣治の本も何冊か刊行しています。
1冊目は開館と同時に出版した『藤田嗣治 安東コレクションの輝き』(世界文化社)で、2冊目は2023年7月2日に発売された『猫の本』(世界文化社)です。