「働く」とは何か?
小磯良平《働く人びと》と会田誠《灰色の山》の有無を言わせぬ迫力
働くということは、人生の大部分を占める重要な要素です。しかし、働くということは、人によって様々な意味や価値を持ちます。
そんな働く人たちの姿を、美術作品を通して見つめる展覧会「働く人びと ~ 働くってなんだ? 日本戦後/現代の人間主義(ヒューマニズム)」 が、2023年10月7日から12月17日まで神戸市立小磯記念美術館で開催されています。
小磯良平生誕120年特別展「働く人びと」では、終戦から現代までの日本の美術家たちが描いた「働く人びと」の作品を展示しています。
農民や漁師、工場労働者やサラリーマンなど、時代や社会によって変化する働く人びとの姿が、様々な表現方法で描かれています。
展示の目玉は、小磯良平が1953年に発表した《働く人びと》です。縦2m、横4mに及ぶこの絵は、画家が戦後の日本の復興を願って描いた、画業最大の作品です。5年ぶりの公開であり、迫力ある筆致と色彩に圧倒されます。
会田誠が2009年から2011年にかけて制作した《灰色の山》は、一見するとゴミでできた山に見えますが、実はおおぜいのスーツ姿の人が折り重なっているという作品です。縦3m×横7mの大作で、使い捨てられるサラリーマンを表現しているようです。
この展覧会では、「働く」ということについて考えるきっかけを提供してくれます。画家たちの視点から見た働く人たちの姿は、私たち自身の働き方や生き方にも通じるものがあります。
10月28日には会田誠を招いてのトークショーがありますし、毎月のワークショップやコンサートなどのイベントも予定されています。ぜひ足を運んでみてください。