幻想的な風景と静物が魅せるデ・キリコの芸術!
久しぶりの大規模展覧会は見逃せない

2024年、東京都美術館で「デ・キリコ展」が開催されます。20世紀を代表する巨匠のひとり、ジョルジョ・デ・キリコの約70年にわたる画業をたどる回顧展です。彼が描いた幻想的な風景や静物による「形而上絵画」は、シュルレアリスムの画家をはじめ、数多くの芸術家や国際的な芸術運動に衝撃を与えました。


本展では、デ・キリコの画業を「イタリア広場」「形而上的室内」「マヌカン」などのテーマに分けて紹介していきます。世界各地から集まった80点以上の作品が展示されるほか、彼の手掛けた彫刻や挿絵、舞台衣装のデザインなども合わせて展示されます。デ・キリコ芸術の全体像に迫り、その唯一無二の表現力を堪能できるまたとない機会となるでしょう。


デ・キリコは、1888年にギリシャのヴォロスで生まれました。父親は鉄道技師で、彼は幼少期からイタリアやドイツなどを転々としました。1906年にミュンヘンに移り、そこで芸術の勉強を始めました。彼は、古典的な絵画や哲学に深い関心を持ち、特にニーチェやショーペンハウアーの思想に影響を受けました。


1911年にはパリに移り、そこでキュビスムや未来派などの新しい芸術運動に触れました。しかし、彼はそれらの流行に従わず、独自の画風を確立しました。彼は、孤独な人物や奇妙なオブジェを配置した不気味な都市風景を描き、それを「形而上絵画」と名付けました。彼の作品は、パブロ・ピカソやアンドレ・ブルトンなどの画家に強い印象を与え、シュルレアリスムの誕生に寄与しました。

また、2024年9月14日(土)〜12月8日(日)の期間で、神戸市立博物館に巡回します。

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