上村松篁が描く万葉の世界
『額田女王』挿絵原画展
浜松市秋野不矩美術館で、2024年2月10日から3月24日まで、特別展「上村松篁が描く万葉の世界 『額田女王』挿絵原画展」が開催されています。
なぜ秋野不矩美術館で開催されるかといえば、上村松篁が秋野不矩とともに創造美術(現 創画会)の創立会員として活躍した日本画家だからです。そして上村松篁の代表作のひとつが、井上靖の歴史小説『額田女王』の挿画です。創造美術結成の折に美術記者として井上靖が関わった縁で依頼が来たものです。
『額田女王』は、万葉集に多くの歌を残した額田王の生涯を描いた井上靖の小説作品です。上村松篁は、井上靖の文に呼応するように、額田王の感情や心情を丁寧に表現しました。原画は、細やかな筆致と淡い色彩で、古代の風景や人物を描き出しています。
本展では、原画のほかに、本画作品も展示されています。本画作品とは、原画をもとに、より大きなサイズで描き直したものです。本画作品は、原画よりも色彩や構図が変更されている場合があり、原画と比較することで、上村松篁の画業の変遷や工夫を見ることができます。
本展では、その貴重な原画に加え、連載後に記念刊行された画集の扉絵原画や本画作品も展示されています。上村松篁が描いた格調高く気品ある絵から醸し出される、雅な万葉の世界をお楽しみください。
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