バスキアの版画の売却・買取をお考えの方へ
―2024年の市場動向と、売却を成功させるためのヒント―

ジャン=ミシェル・バスキアの版画は、現代アート市場において依然として高い注目を集めています。特に生前に制作されたサイン入り作品は、今も「資産価値のあるアート」として評価されており、その希少性と芸術的価値の両面から、熱心なコレクターに支持され続けています。


2024年は、そんなバスキア市場にとって一見静かな年でした。しかし、この「静けさ」こそ、売却のタイミングや戦略を見直す絶好の機会です。

バスキアの販売数と販売総額の推移 ©MyArtBroker 2025

2024年:市場はなぜ静かだったのか

バスキアの版画市場は、2024年に以下のような数字を記録しました:

  • 販売数:前年比55%減(14ロット←前年:31ロット)
  • 販売総額:前年比72%減(約1億1,544万円前年:約4億2,550万円)
  • 平均販売価格:前年比39%減(約849万円前年:約1,387万円)


数字だけを見ると市場が冷え込んだ印象を受けますが、実際のところ、「売れなかった」わけではなく、「売るべき作品が市場に出てこなかった」というのが実情です。


特に以下の2点の不在が、市場全体の売上減少に大きく影響しました:

  • Back of the Neck』(1983年)
  • Untitled』(1983年)


どちらもこれまでに1億5000万円以上で落札された実績があり、バスキア版画のなかでも別格の存在です。こういった人気の高額版画が市場に現れなかったことで、数字上の落ち込みが生じました。

『Back of the Neck』 ©Jean-Michel Basquiat 1983

価値が伸びている作品:「Anatomy」シリーズの再評価

2024年、市場で注目されたのは、バスキアの1982年の作品群「Anatomy」(解剖学)シリーズです。人体の構造をモチーフにしたこのシリーズは、近年急速に再評価が進み、以下のような価格で落札されています:

  • Skull(下顎骨)』:約493万円
  • Thyroid(甲状腺)』:約479万円
  • Vertical Median』:約408万円


2000年代初頭には約75万〜220万円ほどで取引されていたことを考えると、現在は2〜5倍以上に値上がりしていることがわかります。シリーズを揃えて持っている場合は、より高く売却できる可能性があります。

『Anatomy, Head Of The Mandible』 ©Jean-Michel Basquiat 1982

売却のチャンスは「今」なのか?

2024年の静けさを逆手にとるなら、希少性の高い作品を持っている方にとっては、まさに「注目が集まりやすい状況」です。
以下のいずれかに該当する方は、売却戦略を立てる価値があります:


✔ 生前制作・直筆サイン入り作品を所持

→ 1点で数千万円〜1億円超の落札例あり。年間市場全体を動かす力を持つ


✔ 「Anatomy」シリーズのエディション作品を持っている

→ 単品でも400〜500万円台に到達する作品が続出。過去よりも明らかに評価が高まっています


✔ 同一エディションナンバーでセット作品を持っている

→ 2024年4月、フィリップスで『Untitled (Leonardo)』(1982年)の5点セットが約2,646万円で落札。統一されたエディション番号はプレミアムを生む可能性大

バスキアの平均販売価格の推移 ©MyArtBroker 2025


売却時の注意点とおすすめ戦略


◆ 高額作品は、戦略的に「待つ」のも一手


市場に出る希少作品が少なかった2024年の反動で、2025年には注目が集まるタイミングが再び訪れる可能性があります。特にサイン入り作品やフルセット作品をお持ちの方は、「焦らず、最適な場で出す」ことで価値を最大化できます。


◆ 売却先選びがカギ


近年は、1点ずつ丁寧に出品する傾向が強まり、作品ごとの個性と魅力をしっかり伝えることが高値落札の鍵となっています。
国際的オークションや、専門のギャラリーなどが、売却ルートとして選択肢になり得ます。価格査定や出品サポートが手厚い業者を選ぶのが成功のポイントです。

Figure Portrait 5(翠波画廊にて販売中)

売るべきか、持ち続けるべきか?

バスキアの版画は、単なる美術作品ではなく、極めて選別性の高い「アート資産」です。

生前作品やサイン入り作品は、2025年以降の市場再活性化に向けて「待つ」価値ありですが、「Anatomy」など評価が伸びているシリーズは、今売っても十分な収益が期待できそうです。


「今売るべきか? それとも次を待つべきか?」――
この問いに対して最も重要なのは、「何を持っているか」、そして「どこで誰に売るか」です。

Untitled (Ernok)(翠波画廊にて過去に販売)

ご相談は専門家へ

作品の価値を正確に把握し、最適なタイミングと販路を選ぶには、アート専門の査定機関や信頼できるギャラリーへの相談がおすすめです。無料査定サービスなどを活用することで、あなたのバスキア作品の真の価値が、正当に評価される場へと届くでしょう。

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