ピカソとブラックが始めたキュビスムとは何か？
パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展に見る美の革命
キュビスムと聞いて、あなたはどんな絵画を思い浮かべますか？ 立方体や幾何学的な形に分解された人物や風景、色彩や光の効果を排したモノクロームの画面、あるいは抽象的な記号や文字が散りばめられた作品などでしょうか。
20世紀初頭、パリで生まれたこの芸術運動は、西洋美術の歴史に革命を起こしました。ピカソやブラックを始めとする前衛芸術家が、従来の見え方や描き方にとらわれず、物事の本質や多面性を表現するために新しい造形言語を開発したのです。
その衝撃と影響は、キュビスムに共感した若い画家たちや、装飾・デザイン、建築、舞台美術など様々な分野に及びました。キュビスムは、20世紀美術の真の出発点となり、その後の芸術の多様な展開に決定的な役割を果たしました。
今回、世界屈指の近現代美術コレクションを誇るパリのポンピドゥーセンターから貴重な作品が多数やってくる「パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展―美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ」が東京の国立西洋美術館（2023年10月3日～2024年１月28日）と京都市京セラ美術館（2024年3月20日～7月7日）で開催されます。日本でキュビスムを正面から取り上げる本格的な展覧会はおよそ50年ぶりで、50点以上の作品が初来日となっています。
この展覧会では、主要作家約40人による絵画を中心に、彫刻、素描、版画、映像、資料など約140点を通して、キュビスムの豊かな展開とダイナミズムを紹介します。中でも特に注目すべきは、ピカソ12点、ブラック15点という、これまでにないまとまった作品数で見ることができる2人の画家によるキュビスムの造形実験です。
「サロン・キュビスト」と呼ばれる画家たちの絵画では、ポンピドゥーセンターの人気作品で横幅4メートルにも及ぶドローネーの大作《パリ市》（1910-12年）が初来日します。さらに、シャガールの初期の傑作《ロシアとロバとその他のものに》（1911年）も見逃せません。
主な出品作家（アルファベット順）：
コンスタンティン・ブランクーシ、ジョルジュ・ブラック、マルク・シャガール、ロベール・ドローネー、ソニア・ドローネー、マルセル・デュシャン、ナターリア・ゴンチャローワ、フアン・グリス、マリー・ローランサン、ル・コルビュジエ、フェルナン・レジェ、ジャック・リプシッツ、アメデオ・モディリアーニ、パブロ・ピカソ
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