鴨居玲の絶筆自画像が展示される!
人間の心の闇と苦悩を描いた画家の最期とは?
日本を代表する洋画家のひとりである鴨居玲は、自己の内面を凝視し、人間の心の闇と弱さを描いてきました。
鴨居はその57年の生涯の中で、多くの作品を残しましたが、中でも注目すべきは、彼が亡くなる直前に描いた自画像《絶筆》です。
鴨居は1984年に心筋梗塞で倒れてから生きる希望を失い、1985年に自殺でこの世を去ります。最後にイーゼルに残されていた遺作が《絶筆》です。
この自画像は、鴨居が自らの死を予感しながら、自分自身と向き合った結果です。そこには、彼の深い心の叫びと苦悩が表現されています。
岡山県の高梁市成羽美術館(たかはししなりわびじゅつかん)では、2023年4月8日(土)から6月25日(日)まで、「鴨居 玲―1983年2月3日、私」と題した展覧会を開催しています。
展覧会のタイトルである「1983年2月3日」は鴨居玲の命日です。
本展では、鴨居の自画像《絶筆》をはじめ、酔っ払いや老婆など、人間の内面に向き合った油彩画やデッサン、スケッチなど約70点を紹介します。
また、鴨居の思索の跡をたどる画帳や写真など身近な資料も展示します。
決して人物の眼を描かなかったと言われる鴨居玲の作品には、現代の人々に通じる孤独や哀しみがあります。
彼の日本人離れした風貌や無国籍風な生き方と併せて、鴨居に憧れを抱く若者も多いでしょう。地方の美術館ではありますが、鴨居玲の作品に触れる貴重な機会をお見逃しなく!