無限を見ることはできるか?
高さ21メートルの杉本博司のパブリック・アートがサンフランシスコに誕生

Hiroshi Sugimoto, Point of Infinity, Yerba Buena Island. ©Sugimoto Studio 設計:新素材研究所

現代美術家の杉本博司がサンフランシスコのイェルバ・ブエナ島に高さ21メートルの巨大な数理模型作品「ポイント・オブ・インフィニティ」を設置しました。


この作品は、無限という概念を具現化したもので、底面の直径が7メートル、高さが21メートルという圧倒的なスケールを持ちます。


また、春分と秋分の南中時に影が射す位置を示す印が設置される予定で、巨大な日時計としても機能します。


この作品について杉本博司は次のように語っています。
「無限遠点とは1つの逆説です。自然界にあるとすれば、宇宙の果てのその向こうにある遠い場所となるはずですが、あるいは人間の脳内で生み出される幻想でしかないのかもしれません。それでもなお、人類はこの幻想を見ることにこだわり続けてきたのです。私たちはその営みをアートと呼ぶのです」


杉本博司といえば写真作品が有名ですが、彼はそれだけでなく数理模型や茶道具など多岐にわたる表現手法を用いて、時間や物語といった抽象的な概念を探求してきました。


杉本博司の作品は、私たちが普段見過ごしてしまうような自然や歴史や文化に隠された美しさや意味を浮かび上がらせます。「ポイント・オブ・インフィニティ」もまた、私たちが目にすることのできない無限という幻想を具体的な形で提示し、私たちの感性や想像力を刺激する作品です。


杉本博司はこの作品について「彫刻のフォルムは、互いに近づきながらも、決して交わることのない2つの双曲線によって創られています。物質界において、はるか彼方にある無限遠点を特定することは、物理的に不可能です。しかし、数理模型に基づいた直径21ミリの先端部を持つ構造物として近似点を具現化することで、無限を提示することは可能です」と述べています。


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