誰が本物のダリだ?
カンタン・デュピュー監督の新作映画『Daaaaaali!』

サルバドール・ダリといえば、シュルレアリスムの代表的な画家として知られています。彼の作品は、夢や無意識の世界を表現した奇妙で不条理なイメージで満ちており、多くの人々に衝撃を与えました。


ダリは絵画だけでなく、映画にも深く関わっていました。たとえばダリは、ルイス・ブニュエルと共に『黄金時代』や『アンダルシアの犬』といったシュルレアリスム映画の名作を生み出しました。


また、アルフレッド・ヒッチコックやウォルト・ディズニーともコラボレーションを試みました。ダリは、映画というメディアに自身の芸術を表現する可能性を見出していたのです。


そんなダリの映画的な側面に着目したのが、『地下室のヘンな穴』のカンタン・デュピュー監督の新作『Daaaaaali!』(ダァァァァァァリ!)です。「本物の偽伝記映画」と呼ばれるこの映画は、複数の俳優が特徴的なヒゲをつけてダリを演じるという斬新な試みで、観客を驚かせます。ダリを演じる俳優は、エドゥアール・ベールやピオ・マルマイといった主役級の実力派ばかりで、それぞれがダリの異なる一面を演じ分けています。


映画の中には、時間の歪みや夢オチがたくさんあります。つまり、シュルレアリスムの映画的実践でもあるのです。この映画は、ダリの魅力を再発見するとともに、映画という芸術の可能性を問いかける作品でもあります。


音楽(劇伴とテーマ曲)は、素顔を明かさない覆面ユニットとして人気だったフランスの2人組、ダフト・パンク(Daft Punk)のトーマ・バンガルテルが担当しています。カンタン・デピュー監督自身、ミスター・オワゾ(Mr.Oizo)の名前でミュージシャン活動もしているので、こだわりの人選でしょう。


フランスでは本日2024年2月7日から公開されていますが、日本公開は未定です。どこかの配給会社が冒険してくれるのを期待しましょう。

カンタン・デュピュー監督『Daaaaaali!』
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