ガラスの魔法使い、エミール・ガレ
~没後120年の展覧会が東京で開催
東京の渋谷区立松濤美術館で展覧会「没後120年 エミール・ガレ展 奇想のガラス作家」が、2024年4月6日から6月9日まで開催されています。
エミール・ガレはアール・ヌーヴォー運動を代表する工芸家です。ガレはガラス工芸を芸術の域にまで高めた人物として知られており、植物や昆虫をモチーフにした流麗な曲線と鮮やかな色彩の作品で評価されています。
アール・ヌーヴォー運動は、19世紀末から20世紀初頭にかけてヨーロッパを中心に開花した美術運動で、フランス語で「新しい芸術」を意味します。この運動は、都市化と産業化が進む社会背景の中で、工業化による大量生産の安価で質の低い製品に対する反動として生まれました。
特徴としては、花や植物などの有機的なモチーフや自由曲線の組み合わせによる装飾性、鉄やガラスといった新素材の利用が挙げられます。第一次世界大戦を境に、装飾を否定する低コストなモダンデザインが普及し、アール・デコへの移行が起きましたが、1960年代にアメリカでリバイバルが起き、再評価されました。
展覧会では、国内の個人コレクター所蔵の作品を中心に、ガレの創作の軌跡をたどることができます。展示替えも予定されており、前期と後期で異なる作品が楽しめます。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に松濤美術館を訪れてみてください。