カシニョールの絵画に魅せられて
~日本で大流行したフランスの美人画
フランスの画家ジャン=ピエール・カシニョールの絵に出てくる女性たちは、細身で、いつもアンニュイな表情を浮かべています。その独特の雰囲気が、日本人の感性とよく合っているのでしょうか、カシニョールは日本ではたいへん人気のある画家です。
カシニョールはフランスの画家ですが、イタリアのモディリアーニやポーランドのキスリングなど、エコール・ド・パリの画家たちが描いた女性画の伝統を受け継いでいます。もしかすると、カシニョールが彼らと同じユダヤ人だからかもしれません。
カシニョールは第二次大戦下、ドイツ軍に占領された1935年のパリで母子家庭に生まれました。ユダヤ人を迫害するナチス・ドイツから逃れるため、母親に手をつながれて、フランス各地を逃げ回りました。当時はいつも空腹だったそうです。
カシニョールの絵画には、そんな彼の人生の苦難が反映されているようには見えません。もしかすると、彼は絵画を通して自分の理想の世界を描いているのかもしれません。私はカシニョールの絵画に魅せられてやみません。彼の絵画は、私にとって、美しくて、切なくて、懐かしいものです。
カシニョールのオークション・レコードは《バラ園にて》です。この作品は、2013のニューヨーク・クリスティーズのオークションにて、手数料込み89万ドル(約8800万円)にて落札されています。
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