モーリス・ユトリロ生誕140年!
憂愁のパリの風景画家の生涯を展覧会で見よう

「生誕140年 ユトリロ展」が、2023年11月3日(金・祝)~12月25日(月) に、京都美術館「えき」KYOTOで開催されています。


これは2023年7月1日(土)から8月27日(日)まで新潟市新津美術館で開催された展覧会の巡回展です。12月2日(土) には新津美術館館長の松沢寿重氏によるギャラリートークも予定されています。


ユトリロは、生まれ育ったパリはモンマルトルの情景を生涯に渡って描き続けた画家です。哀愁漂う白壁と青空のコントラストが美しい作品は、多くのファンを魅了してきました。


しかしユトリロの人生は決して平穏なものではなく、アルコール依存症や孤独など、多くの苦悩を抱えながら画布に向き合っていたのです。


ユトリロは1883年、画家シュザンヌ・ヴァラドンを母としてパリに生まれました。父親は不明で、母が働いていたために祖母に育てられました。


寂しさをまぎらわすために幼い頃から飲酒を覚えたユトリロは、20歳の時にアルコール依存症の治療として、医師から絵を描くことを勧められます。それをきっかけとして画家としての才能を開花させますが、アルコール依存症は一向に改善されませんでした。


ユトリロは自分の住んでいた場所や旅行先など、身近な風景を題材にしました。


ユトリロの作品は「モンマニーの時代」「白の時代」「色彩の時代」「晩年」という四つの時期に分けられます。


「白の時代」は最も評価される時期で、絵具に石膏や砂を混ぜて質感を出した白壁の建物が特徴です。この時期は技術的にも意欲的にも充実していましたが、精神的には不安定でした。


1928年に国家勲章レジオン・ドヌール勲章シュヴァリエ章を受けたユトリロは、「色彩の時代」に入ります。この時期は色彩が豊かになり、窓が開かれた建物や人物が描かれるようになります。


1935年に年上の女性と結婚し、フランス南西部に移った後も絵画制作を続けましたが、晩年は周囲の要望に応じて「白の時代」の作品を再現することもありました。


ユトリロは1955年に亡くなりました。ユトリロが描いたパリの風景には、今では失われてしまったものも多くあります。しかし、私たちは彼の作品を通して、パリの魅力や歴史を感じることができます。


「生誕140年 ユトリロ展」では、日本国内のコレクション約70点から彼の画業を紹介します。あわせて母シュザンヌ・ヴァラドンの作品も展示し、画家ユトリロ誕生の過程へ迫ります。


芸術の都パリの激動の時代に生きた画家ユトリロの生涯と作品をぜひご覧ください。


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