熊本県立美術館の横山大観《雲去来》修復に1000万円以上が集まる
~北九州市立美術館でも「足立美術館所蔵 横山大観展」を開催

横山大観《雲去来》

熊本県立美術館所蔵の横山大観《雲去来》は屏風絵の傑作です。雨に煙る琵琶湖の風景が、墨の濃淡と裏箔の技法によって、まるで息をするように描かれています。画面の裏側から金箔の光が透けて見えることで、絵の中に柔らかな「光」や「空気感」が生み出されているのです。1917年に琵琶湖の風景に感激した横山大観が制作した大作で、永青文庫の創設者、細川護立の遺族が県立美術館に寄贈しました。


この作品は現在、経年劣化によってその魅力を失いつつあります。表面のシミや汚れによって、雲や水の色が変わってしまい、画面にゆがみが生じています。屏風のつなぎ目の周辺や、屏風縁や屏風裏面にもキズや損傷が見られます。これらの傷みを放置すれば、やがて作品は朽ち果ててしまうかもしれません。


そこで、熊本県はこの作品の修復プロジェクトを立ち上げ、修復費用をふるさと納税制度を通じたクラウドファンディングで募りました。寄附者は、感謝の品や税控除を受けることができ、本プロジェクト限定の特別観覧も用意されています。このように、ふるさと納税制度を活用したものを「ガバメントクラウドファンディング(GCF)」と呼びます。


2023年10月から2ヶ月間おこなわれたGCFの結果、目標額の1460万2000円には届かなかったものの、1018万7000円が集まりました。不足の441万5000円には県の基金を充てるかたちで、2024年度から2年かけて修復に乗り出すことになりました。修復後に再び熊本県立美術館での展示をおこないます。


2024年4月6日(土)~5月19日(日)まで、北九州市立美術館で、開館50周年記念の「足立美術館所蔵 横山大観展」を開催しています。

2024年4月26日(金)〜6月2日(日)まで、福井県立美術館で、北陸新幹線福井・敦賀開業記念「横山大観展」を開催しています。

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