エッセンシャルな色とかたちのミニマリスト、
エルズワース・ケリーの魅力
1923年生まれのエルズワース・ケリーは、アメリカの画家・彫刻家・版画家で、美術界に忘れがたい足跡を残しました。作品は様々なスタイルに及んでいますが、ケリーを真に際立たせているのはミニマリズムです。
芸術運動としてのミニマリズムは、シンプルなかたちや色を強調したものです。余分なものをそぎ落として、必要なものだけを残そうとする精神がミニマリズムです。ケリーの作品は、これらの原則を体現しています。ケリーのミニマリスト的なアプローチは、大胆な色のブロックの使い方に見られます。彼の作品はしばしば、飾り気のないすっきりとした単一の色合いを特徴とします。
かたちの探求も、エルズワース・ケリーのミニマリズムの美学の中心です。彼の作品は、円、長方形、正方形といった幾何学的な精密さが特徴で、それぞれが丹念に作り込まれています。余計なディテールがないため、見る者は線と曲線の相互作用に集中することができます。
エルズワース・ケリーのもうひとつの特徴は、LGBTQの同性愛者としての私生活です。彼は、LOVEの文字で有名な彫刻家ロバート・インディアナと、1956年から約10年間にわたってロマンチックな関係にありました。また晩年は、写真家のジャック・シアーと30年以上にわたるパートナー関係にありました。エルズワース・ケリーが2015年に92歳で亡くなったのち、ジャック・シアーは、エルズワース・ケリー財団のディレクターとして、アーティストの遺産を守る仕事を続けています。
パリのルイ・ヴィトン財団美術館(フォンダシオン ルイ・ヴィトン)では、エルズワース・ケリーの生誕100周年を記念して、2024年5月4日から2024年9月9日まで「フォルムと色彩」展を開催しています。これは、アメリカのグレンストーン美術館で開催された回顧展(2023年5月〜2024年3月)のフランス巡回展にあたります。