海外で高評価の村上隆
版画作品を売買する際のポイント

村上隆は、現代アートの世界で「日本のウォーホル」とも称される著名なアーティストです。

彼の作品は、商業的な成功と批評的な評価の両方を兼ね備えており、セレブリティや高級ブランドとのコラボレーションを通じて広く知られています。


たとえば2025年1月1日からも、ルイ・ヴィトンと村上隆による2025年春夏コラボコレクションが発売予定です。

今回は、2003年に発表された村上隆とルイ・ヴィトンのコラボレーションによるアイテムを復活するうえ、新作も多数ラインナップされています。


現代アーティスト村上隆の商業的魅力

村上隆は「スーパーフラット」という現代アート運動の理論家であり、日本の古典美術と現代のポップカルチャーを融合させた独自の美学を持っています。

彼の作品は、サイケデリックな花や目を引くキャラクターで知られ、幅広い層に人気があります。


また、村上隆の作品は、フィギュアやアパレル、ポスターやトレーディングカードなど、さまざまな形で商業化されているので、一部の富裕層のみでなく、広く一般的な認知を獲得しています。

2024年に京都市京セラ美術館で開催された大規模個展「村上隆 もののけ京都」は約8ヶ月で44万人以上もの入場者を集めました。


その一方で、立体作品《マイ・ロンサム・カウボーイ》がオークションにて約16億円で落札されるなど、アートコレクターの心をもとらえています。

村上隆《My Lonesome Cowboy》オフセット(翠波画廊にて販売)


アート市場における村上隆の版画作品の需要

村上隆は、高品質なアートを手頃な価格で提供することを信条としており、特に限定版の版画が高い需要を持っています。


2008年には「My First Art Series」(はじめての村上隆)という個展を自身のKaikai Kiki Galleryで開催し、80種類以上のポスターを展示しました。

続いて2009年には「I Love Prints And So I Make Them」(私は版画が好きだから作る)という展覧会を開催し、廉価な複製作品と思われがちな版画への愛情を示しました。


また、海外ではBLM(Black Lives Matter)抗議運動に応じて制作されたモノクロの限定版画も高い評価を受けています。

村上隆の版画は多くの種類が流通しているため、世界のアートオークション市場でカウズやバンクシーに並ぶ落札点数を誇っています。

村上隆《笑顔のお花達》アーカイバルピグメントプリント(翠波画廊にて販売)


村上隆作品を売却するときの認証と証明

村上隆の版画には、機械印刷によるオフセット作品と手作業によるシルクスクリーン作品があり、前者が300部程度、後者は50~100部程度が刷られます。

購買者の経済状況に応じて作品を供給しているため、ファンは安心して買うことができます。


それでも様々な事情から村上隆の版画を売却しなければならなくなった際に、できるだけ高額で売りたいと考えるのであれば、購入時の注文書、送り状、配送ラベル、元の包装箱などが揃っていることが重要です。

プライマリーで購入したのであれば、これらの書類は、作品が村上隆のカイカイキキ工房から送付されたものであることを証明します。特に、発送ラベルは偽造が難しいので、真贋を証明するための重要な要素です。


もちろん作品の状態も重要です。

版画のクオリティを保つためには、強い日光や湿気を避けることが推奨されます。

温度や湿度の変化によって版画が波打っていたとしたら、自分で直すのではなく、専門家に相談することが大切です。

村上隆《魂の譲渡》オフセット(翠波画廊にて販売)


村上隆の作品におけるキャラクターの価値

村上隆の作品は、その独自の美学と商業的な魅力から、高い市場価値を持っています。

その価値は、作品の中に何が描かれているかによっても微妙に異なってきます。


村上隆作品の中でもとても人気が高いのは、ミッキーマウスにインスパイアされたとも言われているキャラクター「DOB君」です。

「DOB君」の名前は日本語の「どぼじて?」に由来しており、実存の意義を問うような哲学的なキャラクターと解釈されることもあります。


「DOB君」は、かなり以前から存在するキャラクターですが、最近では自身の工房やギャラリー「カイカイキキ」から名前をとった「かいかい」と「きき」のコンビも、よく作品に登場しています。

「かいかい」は耳の長いウサギ、三つ目の「きき」は耳の丸いネズミを彷彿とさせます。どちらも人間のように両サイドに耳を持っているため、頭の上にあるのは飾りかもしれません。


また、村上隆の作品に最もよく登場するキャラクターとして知られているのが「フラワー」です。

顔のある「フラワー」は村上隆のアイコンとして有名であり、数々のコラボレーション作品において存在感をはなっています。


そのほか、ルイ・ヴィトンとのコラボレーションにおいてはパンダを、カニエ・ウェストとのコラボレーションにおいてはクマを、ポリリズムシリーズにおいてはプラモデルメーカーのタミヤの兵隊をフィーチャーしました。

記憶に残りやすいキャラクターは、村上隆作品をよりいっそう親しみやすく、価値の高いものにしています。

村上隆《DOB 2020 PINK》リトグラフ(翠波画廊にて販売)
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