クリスティーズのセールで見えたアート市場の変化
~2024年は新旧アーティストの世代交代か?

サイ・トゥオンブリー《Untitled (Bacchus 1st Version II) 》の競売 © Christie’s Images Ltd 2023.


2023年11月7日、ニューヨークのクリスティーズで秋のオークションシーズンの幕開けを告げるイブニングセールが開かれました。今回は21世紀のアート作品に特化した現代アートセールでしたが、売上は予想額を下回るものでした。


今回のオークションの目玉はサイ・トゥオンブリー《Untitled (Bacchus 1st Version II)》で、予想落札価格は1800万〜2500万ドル(約27億〜38億円)でしたが、予想を下回る1700万ドル(約26億円)に終わりました。手数料込み2000万ドル(約30億円)という価格は、落書きに見えるかのような1枚の絵に対する対価としてはかなりの高額ですが、2015年11月に無題の絵画で7053万ドル(約87億円)の記録を出しているサイ・トゥオンブリーにしては期待外れでした。


また、ジャン=ミシェル・バスキアが1981年に制作した無題の絵画も、予想落札最低額1000万ドル(約15億円)以下で落札されてしまい、手数料を入れても1190万ドル(約18億円)にしかなりませんでした。2017年5月にやはり無題の絵画が、前澤友作氏に1億1050万ドル(約120億円)で落札されたバスキアにしてはいまいちの価格でした。


そのほかアンディ・ウォーホル、キース・ヘリング、ジョージ・コンド、ジョン・カリンなどの有名作家の作品も軒並み予想落札最低額未満となりました。


一方で、ジャデ・ファドジュティミ、ジェンナ・グリボン、ジア・アイリ、イラナ・サヴディなどの若手作家や女性作家の作品はそれぞれのレコードを打ち立てています。これまで業界を席巻してきた大御所アーティストの人気に陰りが見え、新進アーティストへと市場の変化の兆しが見えてきています。


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